日本近代文学
アンソロジー・プロレタリア文学D 驚異   出会いと偶然
プロレタリア文学D 驚異

本体3000円(+税)
楜沢健[編]
四六判/384頁

978-4-86405-170-5
C0393
2022.6

日本近代文学


路上で拾った手紙、便所の壁に書き足されていく落書き、職場の壁に張り出された物語、替え歌として増殖していく風刺歌、人工国際語エスペラント混じりの戯曲、「共同製作」と銘打ち作者神話を打ち砕く新聞小説など、「文学」という枠組みを乗り越え生み出された、知られざるプロレタリアの名作群。

【『アンソロジー・プロレタリア文学』について】
1920 年代〜 30 年代に流行し、その後顧みられることの少なかったプロレタリア文学作品を、テーマ別に全5 巻にまとめる。
プロレタリア文学ならではのラインナップで短篇〜中篇小説、匿名の投稿小説、「壁小説」などを各巻10 本程度収録し、加えて川柳・ 短歌・俳句・詩なども収める。巻末には編者による解説を掲載。
【目次】

野獣=大杉栄

[T]
空中の芸当=小川未明
琉球の武器=藤沢桓夫
綱渡りの現実=小熊英雄
川柳=近藤十四子

[U]
セメント樽の中の手紙=葉山嘉樹
誰かに宛てた記録=小林多喜二
便所闘争=府川流一
テガミ=小林多喜二
わかもの=中野重治
川柳・コマ絵= 竹久夢二

[V]
「ラッパ節」替え歌の変遷
四季の歌(第二次)・鐘ヶ淵紡績女工の歌
演歌集=添田唖蝉坊
工場閉鎖=「文戦」責任創作
川柳・コマ絵=竹久夢二

[W]
雪のシベリア=黒島伝治
緑の野=秋田雨雀
「舌」の叛逆としてのエスペラント=秋田雨雀
医者とエスペラント=伊東三郎
川柳=戸川幽子
[X]
十三人=田中忠一郎
地下鉄(「青服」前篇・後篇) =貴司山治
    
[解説]出会いの芸当=楜沢 健

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【編者紹介】
楜沢 健(くるみさわ・けん)
1966年東京生まれ。文芸評論家、早稲田大学他非常勤講師。
早稲田大学第一文学部卒業。同大学院文学研究科博士課程単位取得退学。
プロレタリア文学を研究の中心テーマ、座標軸のひとつに据え、ユニークな文芸評論を展開。
『だからプロレタリア文学──名文・名場面で「いま」を照らしだす17の傑作』(勉誠出版、2010年)、『だから、鶴彬──抵抗する17文字』(春陽堂書店、2011年)、『川柳は乱調にあり──嗤う17音字』(春陽堂、2014年)、『葉山嘉樹・真実を語る文学』(共著、花乱社、2012年)、『里村欣三の眼差し』(里村欣三顕彰会編、吉備人出版、2013年)、『多喜二の文学、世界へ──2012年小林多喜二国際シンポジウム報告集』(荻野富士夫編、小樽商科大学出版会、2013年)、『原発川柳句集──五七五に込めた時代の記録』(レイバーネット日本川柳班編、2013年)など。