映画・芸術
光学のエスノグラフィ フィールドワーク/映画批評
光学のエスノグラフィ

金子遊[著]
四六判/288頁
本体2900円(+税)
ISBN978-4-86405-160-6
 C1074
2021.6

映画・芸術



撮ること、観ること、考えること──。これらの営みの総体として、映画は形成されている。
ロバート・フラハティからジャン・ルーシュへと連なる映像人類学をはじめ、アピチャッポン・ウィーラセタクン、王兵、ツァイ・ミンリャン、エドワード・ヤンといったアジアの映画作家まで、人類学的フィールドワークと映画批評を横断し、映像のなかに個を超えた人類の歴史、習俗、営みを見出す。
サントリー学芸賞受賞作『映像の境域』を発展させた批評の新地平。




[目次]

【1 光学的イメージの旅】
1 民族誌家としてのアーティスト──マヤ・デレンとヴードゥー信仰
2 ツァイ・ミンリャン、時間を描く画家
3 アピチャッポンと東北の森
4 亜熱帯のコスモポリタン──エドワード・ヤン論
5 台南とシュルレアリスム──『日曜日の散歩者』

【2 民族誌映画のフィールド】
6 神話を彫塑する──ロバート・フラハティ論
7 エスノフィクションの方法──ジャン・ルーシュ論
8 久高島のコスモロジー
9 むきだしの縄文──『海の産屋』と『廻り神楽』

【3 革命と戦争の世紀】
10 革命の民族誌──ストローブ=ユイレ論
11 光の叙事詩 王兵の『鉄西区』と『死霊魂』
12 リティ・パンと七つの外部記憶
13 ポスト東欧革命の映像──チェコ、マケドニア、ボスニア
14 ソーシャル・デザインとしての太陽花占拠



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[著者紹介]
金子遊(かねこ・ゆう)
批評家、映像作家。多摩美術大学准教授、芸術人類学研究所所員。
映像、文学、フォークロアを領域横断的に研究する。
『映像の境域』(森話社、2017年)でサントリー学芸賞<芸術・文学部門>受賞。その他の著書に『辺境のフォークロア』(河出書房新社、2015年)、『異境の文学』(アーツアンドクラフツ、2016年)、『混血列島論』(フィルムアート社、2018年)など。
共編著に『クリス・マルケル 遊動と闘争のシネアスト』(森話社、2014年)、『アピチャッポン・ウィーラセタクン』(フィルムアート社、2016年)、『アメリカン・アヴァンガルド・ムーヴィ』(森話社、2016年)、『ジャン・ルーシュ』(森話社、2019年)など。
共訳書にティム・インゴルド『メイキング』(左右社、2017年)、アルフォンソ・リンギス『暴力と輝き』(水声社、2019年)などがある。