日本文学[近世]
江戸の学問と文藝世界
江戸の学問と文藝世界

鈴木健一・杉田昌彦・田中康二・西田正宏・山下久夫[編]
A5判/328頁
本体6500円(+税)
ISBN978-4-86405-126-2
C1095
2018.02

日本文学[近世]


古典の読みは各時代における注釈の集積の上に成り立っている。一方で、各時代の文学作品は同時代の注釈のありかたと無縁ではない。
古典がどのように注釈されたかを問うことで、近世の文学作品のあり方をとらえなおす。

【目次】

注釈史と文学史=鈴木健一

[T継承と確立の時代──十七世紀]
中院通茂の秀句観と木下長嘯子の秀句=大山和哉
古今伝受と実作と=西田正宏
和刻本漢籍の注と芭蕉=金田房子
『好色一代男』巻四の二「形見の水櫛」考=水谷隆之

[U成熟と転換の時代──十八世紀]
ありのままによむこと=高野奈未
自注する精神=中森康之
『新斎夜語』第八話「嵯峨の隠士三光院殿を詰る」と『源氏物語』注釈=木越俊介
『てづくり物語』考=天野聡一
「神話」を創造する『古事記伝』=山下久夫

[V大衆化の時代──十九世紀]
山東京伝と岸本由豆流との交流=伊與田麻里江
曲亭馬琴『独考論』の宣長評=杉田昌彦
言霊倒語説の形成=田中康二
心学「鬼の相」をめぐって=門脇大
幕末の志士における「正気歌」の受容=佐藤温


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【編者紹介】

鈴木健一(すずき けんいち)
学習院大学文学部教授 専攻=江戸時代の文学(特に詩歌と古典学)
『古典注釈入門──歴史と技法』(岩波現代全書、2014年)、『天皇と和歌──国見と儀礼の一五〇〇年』(講談社選書メチエ、2017年)

杉田昌彦(すぎた まさひこ)
明治大学文学部教授 専攻=日本近世文学(和学、国学)
『宣長の源氏学』(新典社、2011年)、「宣長における"漢意"意識の苗床」(『文学』2015年11・12月号、2015年11月)

田中康二(たなか こうじ)
神戸大学大学院人文学研究科教授 専攻=国学
『本居宣長の国文学』(ぺりかん社、2015年)、『真淵と宣長──「松坂の一夜」の史実と真実』(中央公論新社、2017年)

西田正宏(にしだ まさひろ)
大阪府立大学高等教育推進機構教授 専攻=日本中世・近世文学、古典学史
「添削の批語と注釈のことば──契沖の注釈の学芸史的意義」(『文学』2016年1・2月号、2016年1月)、「地下歌人の古今集研究──『古今連著抄』をめぐって」(『国文学論叢』第六十二輯「日下幸男教授退職記念号」、2017年2月)

山下久夫(やました ひさお)
金沢学院大学名誉教授 専攻=日本文学、日本思想史
『秋成の「古代」』(森話社、2004年)、『本居宣長』(コレクション日本歌人選、笠間書院、2012年)

【執筆者紹介】(掲載順)

大山和哉(おおやま かずや)
同志社大学文学部助教 専攻=近世和歌文学
「後水尾院の歌論と添削指導」(『国語国文』第81巻第5号、2012年5月)、「中院通茂『未来記』『雨中吟』講釈の意義」(『和歌文学研究』第112号、2016年6月)

金田房子(かなた ふさこ)
学習院大学非常勤講師・日本女子大学非常勤講師 専攻=近世俳諧
『芭蕉俳諧と前書の機能の研究』(おうふう、2007年)、「紺の染緒──『おくのほそ道』の「風流」・追考」(『俳文学報』第50号、2016年10月)

水谷隆之(みずたに たかゆき)
立教大学文学部准教授 専攻=日本近世文学(浮世草子、俳諧)
『西鶴と団水の研究』(和泉書院、2013年)、『江戸吉原叢刊〈第4巻〉遊女評判記4・貞享〜正徳』(編著、八木書店、2011年)

高野奈未(たかの なみ)
静岡大学教育学部准教授 専攻=日本近世文学(特に古典注釈学、和歌)
『賀茂真淵の研究』(青舎、2016年)、「弟子は師をいかに語るか──真淵の「万葉風」詠歌をめぐって」(『日本文学』第66巻第10号、2017年10月)

中森康之(なかもり やすゆき)
豊橋技術科学大学教授 専攻=俳諧
『蝶夢全集』(共編著、和泉書院、2013年)、『近世文学史研究 第二巻 十八世紀の文学』(共著、ぺりかん社、2017年)

木越俊介(きごし しゅんすけ)
国文学研究資料館准教授 専攻=江戸時代後期小説
『江戸大坂における出版流通と読本・人情本』(清文堂出版、2013年)、「前期読本における「世話」」(『日本文学』第64巻第10号、2015年10月)

天野聡一(あまの そういち)
九州産業大学国際文化学部准教授 専攻=国学、読本
「『袖のみかさ』考──光格天皇の後宮の物語」(『日本文学』第66巻第6号、2017年6月)、「「春の山ぶみ」考──嵯峨野の春の夢」(『國學院雜誌』第118巻第8号、2017年8月)

伊與田麻里江(いよだ まりえ)
明治大学大学院博士後期課程 専攻=近世後期戯作文学
「山東京伝『忠臣水滸伝』における兼好の造型」(『日本文学』第64巻第2号、2015年2月)、「南杣笑楚満人の草双紙創作法とその意識──寛政・享和の敵討ものを中心に」(『文化継承学論集』第12号、2016年3月)

門脇 大(かどわき だい)
神戸星城高等学校ほか非常勤講師 専攻=怪異文芸
『海の文学史』(共著、三井弥書店、2016年)、『〈江戸怪談を読む〉猫の怪』(共著、白澤社、2017年)

佐藤 温(さとう あつし)
日本大学経済学部専任講師 専攻=幕末・明治期の文芸(主に漢詩文)
「「文人」になることの意味──菊池教中『澹如詩稿』をめぐって」(『比較文學研究』第95号、2010年8月)、「藤森弘庵『春雨楼詩鈔』と幕末の出版検閲」(『近世文藝』第103号、2016年1月)